靴職人を目指す高校生の秋月孝雄は、雨の日に1限をサボって新宿御苑で過ごす。
ある雨の日、いつもの様に新宿御苑に来たタカオは、昼間からビールを飲みつつチョコレートをかじるユキノに出会う。
（現実の新宿御苑では飲酒は禁止されているので、真似はしないように）

タカオは靴のデザイン案を書きながら、横目でユキノを見ていると、ふと既視感を覚える。どこかで会った事が有るような・・・？
訪ねてみたが否定され、それだけで終わるかと思われた時、ユキノの目に制服と校章が映る。
一瞬考えて万葉集の一節を残して去って行ったユキノ。二人の雨の日の逢瀬が始まる。

テーマは恋、そして雨。
全編の過半数のシーンは雨。細かな水滴、靴と地面の間で跳ねる水しぶき、葉っぱから流れ落ちるその瞬間。
新海作品はその映像の美しさでいつも魅了してくれますが、今回は過去最高と言って良い映像美です。
キャラクターの書き込みと、入野自由＆花澤香菜の落ち着いた演技が、背景に負けず劣らず良い感じ。
結果、秒速5センチメートルの様な背景に目が行きがちな作品ではなく、画面全体のバランスが良い作品に仕上がっています。

一番印象に残ったシーンは、靴の型取りの所ですね。
靴を脱ぐ動作から、足の形を確かめる手の動き。定規を当てて角度を確かめ、足の形を紙に書き写す。そして雨の音。
たぶん、二人が一番通じ合った一瞬ではないでしょうか。

クライマックスのシーンで流れる大江千里のRainカバーもイイ仕事してます。
歌っているのは秦基博。作品のテーマとシーンにマッチした素晴らしい歌声です。

1時間にも満たない作品でしたが、満足度はかなりのもの。
興味を持たれた方は是非見て下さい。きっと満足します。

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